冷凍パクチー餃子
バンコクに来てから、冷凍食品やレトルトをほとんど使わなくなった。
女子力が上がったとか主婦力が上がったとかそういうことではなく、単にお値段が高いのだ。
そりゃそうだ。日本からの輸入だもの。高級輸入食材だもの。
日本からの輸入だと価格は大体2~3倍。
日本にいた時は仕事のこともあり時短優先だったけれど、今はそういう訳でもないのでこの機会にと、料理力の特訓に勤しむわけであります。
でもよくよく見ると、日本のものでもタイやシンガポール等の近隣で作っているものだともっと安い。
キューピーマヨネーズとか、キッコーマンのお醤油とか。
そしてそして、日本にはないタイ限定(多分)の日本のものもあったりする。
そのひとつが写真の、味の素の「冷凍パクチー餃子」。
パッケージの日本語からも分かるようにかなりの日本人向け感。
そしてもちろんタイ産パクチー100%で、アユタヤ工場製。そのローカル感にも個人的にはときめき。
輸入品ではないのでお値段もそこまでではなく、パクチー好きな自分はもちろん好きな味。
この子が冷凍庫にスタンバイしてくれてるおかげで何かのときにもサッと作れて、自分的にはほっくほくの一品なのであります。
安藤祐介『宝くじが当たったら』講談社文庫
自分自身宝くじを買ったことは一度もない。
けれど、代わりに換金に行ったことは何度かある。連番で10枚買っていれば1枚、下一桁が必ず当たっているからだ。
当選番号を確認したうえで宝くじ販売窓口に行っているのに、番号を調べてもらっている間はやはりちょっとドキドキする。300円でもドキドキするのに、この主人公のように高額当選だと分かっているなら尚更だろう。
"当選したことは周囲の人に言ってはいけない"、"まず貯金して使い道を考える”。
宝くじを買ったことのない人間にもわかるその基礎知識を、頭では分かっているのに冷静になり切れず何故か破っていってしまうその姿には、文章がとても読みやすい分「自分でもこうなってしまうかも・・・」と逆に生々しく感じられた。
友人の、親戚の、身近な人々の裏表に触れ、坂道を転がり落ちるように進んでいく一瞬の中で、けれど最後には希望と未来が手のひらに残るところに「所詮小説だから」では片づけられない爽やかさが垣間見える気がした。
安藤祐介『宝くじが当たったら』講談社文庫
978-4-06-293280-6