日々の徒然

ごはんと旅と、本と犬と。現在バンコク在住。

松本清張『赤い絹』(上・下)講談社文庫

本に新刊既刊の区別はない。
読みたいときに手に取るものだ。
わたしにとっての『赤い絹』は、まさにその代表のようなものだった。


バンコクのタイシルク王ジム・トンプソン。
マレーシアで失踪した、ということだけは知識として持っていたものの、

その事件を題材とした本書は、読み進めるうちにフィクションとしても、また実際の人物、場所、事件としても、ものすごく興味をそそられるものだった。


実際にまだ未解決なジム・トンプソン失踪事件。
実際の事実を多く取り入れて練られた物語は、あっという間に現実の時間を奪い本の世界に引き込んでくる。

 

また、マレーシア・ペナン島、そこからフェリーで渡る本島の街バタワース。
カンボジアのアンコールワットやバンテアイスレイ。
タイのバンコクやスリン、ブリーラムなど、自らの知る土地を、同じように本の登場人物が生きて動いているのがとても新鮮だった。
本の世界1967年の先に、今の自分の世界が繋がっている気がした。