朱野帰子『対岸の家事』講談社
この著者の、いつものようにとても読みやすい、入りやすい軽快な文章。
なのに読んでいてどんどん胸が苦しくなる、目の離せない迫りくる日常。
誰も間違っていない、だけど誰も逃げ出せない日常。
世界は大きく開けているはずなのに一歩も前に踏み出せないその追い詰められた気持ちを、体感して、といったらおこがましいがその片鱗を感じて苦しくなりながら読んだ。目が離せなかった。
本の中だけではない、現実にのし掛かっている問題。それを(少なくとも今は)関係ないと思っている多くの人に感じてもらいたい。
そして自分も含めその問題に直面したとき、せめて空を見上げる心を忘れないでいたいと強く思った。
8月30日発売予定
朱野帰子『対岸の家事』講談社
978-4-06-512200-6