朝井リョウ『ままならないから私とあなた』文藝春秋
そこで!そこで終わるの!?
ままならない突然の幕切れ。けれどその先は、それぞれの胸のうちに、ということなんだろう。
雪子と薫、どちらも痛いほどにまっすぐで強くて純粋で、なのにどうしてこんなにも別の場所にたどり着いてしまうのか。
どちらも間違っていない。ふたりのどちらの理論もわたし自身の中には存在していて、おそらくわたしの他、同年代の大多数の中にもその理論はあって、それが苦しく、刺のように姿を変えて、読み進めるほどに襲いかかってくるようだった。
朝井リョウ『ままならないから私とあなた』文藝春秋
978-4-16-390434-4