日々の徒然

ごはんと旅と、本と犬と。現在バンコク在住。

朝倉かすみ『平場の月』光文社

押し寄せてくる、激流ではなくそっと静かにあたたかいものに浸されていくような暮らし。 恋人でも友人でも夫婦でもどの言葉にも当てはまらない、けれど心や、自身のすべてに寄り添ってくるひとりの存在は、真っ白な無音の幸せのように感じた。 美しくもとき…

宿野かほる『ルビンの壺が割れた』新潮社

壮年の男女が、FBのメッセージで会話を交わしていく その会話によって、過去の物語が解き明かされていく。 それぞれの目線での会話以外、実際の動きの描写は全くないので それぞれの人物からどう見えていたか、ということしか書かれていない。 真実が少しず…

ドンキモール トンロー参戦

行ってきた、エカマイドンキ! オープン日に行きたかったものの体調不良もあり、少し日をずらしての参戦。 結果としては、 そのせいで売り切れが多く、残念なところもあったけどまだまだお買いものと活気を楽しんできました。 行きはBTSエカマイからエカマイ…

松本清張『赤い絹』(上・下)講談社文庫

本に新刊既刊の区別はない。読みたいときに手に取るものだ。わたしにとっての『赤い絹』は、まさにその代表のようなものだった。 バンコクのタイシルク王ジム・トンプソン。マレーシアで失踪した、ということだけは知識として持っていたものの、 その事件を…

桜木紫乃『光まで5分』光文社

生きているのはものすごく面倒で重くて、誰ともかかわり合いになりたくないと思うこともたくさんあるのに、結局人は誰か自分以外の熱を求めてしまうし、誰かを触れていないと生きてはいけない。 明るく爽やかな沖縄の地で、笑顔の塊のような観光客と表裏一体…

ロイヤルプロジェクトフェスティバル@パラゴン

友人のブログを教えてもらったら、きちんと日々更新していて、自分の行動を猛省。 がんばる。溜まったおでかけ記録も、少しずつ書きたいなあ。 てことで、今日は“ロイヤルプロジェクトフェスティバル”@パラゴン FBの広告で開催していることを知り、楽しそう…

椰月美智子『緑のなかで』 光文社

同じように毎日を過ごし同じように人生の途中途中で悩む人がどれだけの数いるとしても、自分の道は自分だけの道だ。双子でも友達でも誰にも似ていない、自分で決めて進まなければならない道だ。素直に思いを表に出せない登場人物たちの姿に、自分や友人や、…

サムットプラカーン クロコダイルファーム&ズー(ファームジョラケー)

象たちが自由すぎて、今のところ個人的ベスト象な動物園(?)「サムットプラカーン クロコダイルファーム&ズー」。 タイ語では「ファーム ジョラケー」 ジョラケーがワニ。 元々ワニ皮輸出のための養殖場だったとかで今でも世界最大(飼育数)のワニ園だそうだけど…

新井見枝香『本屋の新井』講談社

片手でコンビニのお菓子をつまむようにサラッと読める軽快さ。 その中で見え隠れする、独特の方向性を持った頑固さ。 生きていくための無意識の諦め。手放したくない幼稚さ。自分に似た、等身大の人がこの本の中に立っていたことに少し安心する。 日本全国こ…

澤見彰『横浜奇談新聞 よろず事件簿』ポプラ文庫ピュアフル

新しい文化とこれまでの慣習が入り交じる時代の、悩みや葛藤や生き方。立場も人種も違う、けれど違うことは認めた上で、同じ横浜の地に手を取り合い立って毎日を生きていく姿に、現代より人と人との距離が近いことと、そのあたたかさを感じた。本書に出てく…

朱野帰子『対岸の家事』講談社

この著者の、いつものようにとても読みやすい、入りやすい軽快な文章。 なのに読んでいてどんどん胸が苦しくなる、目の離せない迫りくる日常。誰も間違っていない、だけど誰も逃げ出せない日常。 世界は大きく開けているはずなのに一歩も前に踏み出せないそ…

大森裕子『パンのずかん』白泉社

写真のようなリアルさ。けれどイラストだからこその温かさ、かわいさ、本物ぽさ…。むずかしい理由付けせずとも、感覚的な「好き!」がぎゅっと詰まっている一冊。 よくあるものからちょっと珍しいものまで、たくさんの種類のパンを「まるいパン」などの今までな…

斉木香津『幻霙』双葉文庫

確固たる意思を持って生きる、とはつまりどういうことだろう。 時に流されながらそれなりに。その時その時にいいと思える道を。 それもまた間違っていない生き方なのに、気が付けば迷走の中取り返しがつかないところを進んでいる。 正しい解答なんてどこにも…

藤野恵美『ショコラティエ』光文社

抗いきれない時代の波や両親の期待に流されながらも、自らの目指すものを見つけて突き進む登場人物たちの姿は、不器用ながらも羨ましくなるほどまぶしかった。 この先に続く未来の物語をもっともっと読み続けたい。今の時代が彼らの目にどう写るのかを、見て…

みんなの味方カップヌードル

日本でも好きでよく食べていたカップ麺。 タイもカップ麺も袋麺もよく売っているけれど、日本と同じデザインで親しみやすいのはやっぱりこれ。カップヌードルかなと。 といってもトムヤムやムーマナオなどなど味は違う味で、中でも辛すっぱいムーマナオは個…

たこ焼き @KFC

エムクオーティエで、たこ焼きが食べたい…と銀だこに向かったものの、なんとなく気が乗らず素通り。 するとKFCに“TAKOYAKI”なパネルがあったので気になって食べてみました。 パネルにあるバスケットで109B。7piecesで42B。 パネルの写真の断面からもチキンで…

スーパーウェア初潜入

先日はスーパーウェア(Superware)、メラミン食器製造工場のアウトレットセールへ初潜入。 スーパーウェアは、在タイの日本人奥様方には有名な、駐妻三大セールとも呼ばれるものです。 あとのふたつは「ギフトフェア」(4・10月?)と「ジム・トンプソンセール」(6・12…

クリス・コルファー『ザ・ランド・オブ・ストーリーズ(1) 願いをかなえる呪文』平凡社

ファンタジーで外国文学。苦手意識を持つ人も少なくないかもしれないけれど、本を開いてすぐに飛び込んでくる「白雪姫」の名前に、途端に興味を惹かれる。 “「むかしむかし……」(中略)この言葉を耳にした人には、すぐに招待状が届きます。誰もが温かく迎えられ、…

リドシアター最終日

チケットカウンターには、開店前から列ができていた。 その列を、チケットを求める人を、映画館を惜しむ人を撮りに、テレビカメラも来ていた。 3スクリーンあるけれど、最終上映は20:45からの「坂道のアポロン」。 最終日の今日が、初日の映画。 一日しか。…

BTSの優先マーク

日本にもある電車の優先席。 体の不自由な方や妊娠中の方云々と車内でよく放送しているけれど、シルバーシートという名前のせいかどうしても“お年寄りの席”感を感じてしまう。 ところ変わってバンコク。 何度も乗っているBTSに、お坊さん優先マークを発見。 …

リドシアター

BTSサイアムのすぐそばにあるリドシアター。 ここで映画観たいな、と思いつつもタイミングが合わず今まで来てしまっているけど、古き良き映画館、て感じの趣きで、いつも横浜のジャック&ベティを思い出す。そんな感じ。 とは言っても、初めてここに来た1年前…

塩田武士『騙し絵の牙』KADOKAWA

出だしから出てくるいくつもの名前を最初は覚えられず、何度かページを戻りながら読んだ。元々登場人物の名前を複数覚えるのが苦手なせいだけれど。 けれど文字を追ううちにいつの間にかそんなことも忘れ、物語と現実が混ざりあっていく。 歩く度に足元の砂…

ベンジャシリ公園

曇っていて珍しく涼しめだったのでBTSプロンポン隣のベンジャシリ公園へ。 いつも気にはなっていたものの、暑いし蚊とかの虫は気になるしで遠目から見るだけだった都会のオアシス。 できることならピクニックやベンチで読書、とかしたかったので散歩がてら初…

工藤ノリコ『ノラネコぐんだん アイスのくに』白泉社

まずかわいい。表紙を見た瞬間に。ページを開いた瞬間になによりもそこにまず、心がときめく。 絵本とは子供のもの。それはもちろんそうだけれど、その水彩のようなやさしい色づかい、コミカルなキャラクターには、もうとっくに子供時代を卒業している身でも…

宮下奈都『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。』扶桑社

ゆっくりと木洩れ日の下で歩いているような本。生きていくこと。暮らしていくこと。それらが詰まった、宝物のような本だった。 ひと口ひと口が、料理のひと品ひと品が、今の自分を作り上げていく。手をかけ、命をいただくこと。使う鍋ひとつにも、それを食べ…

瀬尾幸子『うれしい副菜』新星出版社

1冊、自分の横にあるだけですごく安心できる本。 パラパラめくるだけで「これ食べたいなあ」ってメニューがいくつもビジュアルで飛び込んできて、作り方の手順も大体3~4手順でできる。材料も難しくない。お料理慣れしている人にはきっと、当たり前に思いつく…

フジスーパー・グルマ・ヴィラ比較

こどもの日。日系スーパーのフジスーパーには鯉のぼりが揺れる。 柏餅も節分も年越しそばも、フジが置いてくれるのを見て思い出す。 日本人が多いエリアにいるので、狭い範囲にフジスーパーは4店舗。 それプラス、自分がよく行くのはエンポリ、エムクオーテ…

映画鑑賞の楽しみ

映画を観るときの楽しみは、実は本編が始まる前にある。 大量のCMや映画予告も面白いけど、それと本編の間の国王賛歌。 いつも自分はそれを楽しみに待っている。 タイでは本編前に流れる国王賛歌の間は全員起立。 その歌の間の映像が、映画館(多分)や時期に…

映画鑑賞のすすめ

言葉が分からないから映画も観れない。 …そんなことなかった。 タイ語も英語も分からなくても、日本映画がかかる時に観に行けばいいのだ。 念のためオリジナルサウンドトラックかどうかは気にしなきゃいけないけど(吹替だと…( ´_ゝ`)うん。ね。。意味ない…)…

伊坂幸太郎『AX』角川書店

家庭での暮らしと殺人稼業。どちらにも非日常性や優位性を感じることなく並列で続いていく日々。読み進めるとそれは、とても新鮮な気持ちですとんと自分の中に落ちてくる。これまでの自分の価値観を、ものともしない文章に乗せて。 守るべきものはなにか。一…