日々の徒然

ごはんと旅と、本と犬と。現在バンコク在住。

塩田武士『騙し絵の牙』KADOKAWA

出だしから出てくるいくつもの名前を最初は覚えられず、何度かページを戻りながら読んだ。元々登場人物の名前を複数覚えるのが苦手なせいだけれど。

けれど文字を追ううちにいつの間にかそんなことも忘れ、物語と現実が混ざりあっていく。

 

歩く度に足元の砂が崩れていくような、胃の痛くなる仕事。章ごとに深まる悲哀と苦痛が、章の口絵(?)になっている大泉洋さんの顔にも滲み出てくる。

まだ半分…、まだ…まだ終わらない…。次々と地雷のような出来事が埋まっている戦場を、頁数を見ながら追われるように読む。読んでいてこんなに早く終わって欲しいと思う小説もなかなかないかもしれない。けれど目を離せない。

家族、仕事、苦しい、辛い。物語の中の八方塞がりな生き方は、決して本の中のこととも他人事とも思えなかった。

社会や会社、家庭に追い詰められていく姿が自分とも友人とも家族とも重なっていく。

 

この本の本題ではないんだろうけれど、さらさら音をたてて崩れていく砂の城を両手で支えるような毎日は、誰もが大なり小なり感じているものだと思う。指の間からもこぼれ落ちていく粒に無力感を感じながら、けれど進むしかない。後戻りもできないし、その砂の城を投げ出して逃げることも、よほどの覚悟がないとできない。

少しずつ本当の自分を押し殺して、生きていくための仮面を被る。そうしている自分を、この本を読んで気づかされた。

 

塩田武士『騙し絵の牙』KADOKAWA

978-4-04-068904-3

www.kadokawa.co.jp

ベンジャシリ公園

曇っていて珍しく涼しめだったのでBTSプロンポン隣のベンジャシリ公園へ。

いつも気にはなっていたものの、暑いし蚊とかの虫は気になるしで遠目から見るだけだった都会のオアシス。

できることならピクニックやベンチで読書、とかしたかったので散歩がてら初潜入。

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犬は連れてっちゃ駄目、っていうのは聞いていたもののほんとに看板が。

トイレの問題とかなんだろうけど愛犬家としては残念な限り…。野良犬は入ってこないのかなあ…。

 

ここはシリキット王妃の還暦をお祝いして作られたそうで、そのせいか整備も行き届いていてとっても綺麗。

剪定もきちんとされていて、ベンチも並び、ほんと気温と湿度さえ気にしなければ毎日いられるなあ~。

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涼しい気持ちのいい日だったので、せっかくだしベンチで読書。

すると、少しして上から葉っぱや枯れたお花がいくつもいくつも舞い落ちるように。 

「突然なに?雨?」と見上げて目を凝らすと、近くの木に登っていたリスが揺らしていたせいでした(*´∀`)

 

隣のダイナソープラネットの解体と思われる工事の音は響いてくるけど、車の音よりは鳥のさえずりが聞こえ、現代アートが点在し、風が吹き抜ける静かな落ち着いた空間。

ゴミも全然落ちてないし。

自力で行ける好きな場所が、またひとつ増えた。

 

いつか設置してある屋外ジムを体験してみたいけど、、

タイのおじさんがよくやってるの見るからな…。ちょっと勇気いるな…。

工藤ノリコ『ノラネコぐんだん アイスのくに』白泉社

まずかわいい。
表紙を見た瞬間に。ページを開いた瞬間になによりもそこにまず、心がときめく。


絵本とは子供のもの。それはもちろんそうだけれど、その水彩のようなやさしい色づかい、コミカルなキャラクターには、もうとっくに子供時代を卒業している身でもすごく惹き付けられる。

 

「あの子はなにしてるのかな?次のページではどこにいるかな?」「あんなところにあんなものがあるね」と、ひとりでも子供と一緒でも楽しめる、おやつのようなひとときでした。

 

#ノラネコぐんだんアイスのくに #NetGalleyJP

 

工藤ノリコ『ノラネコぐんだん アイスのくに』白泉社

978-4-592-76220-1

www.hakusensha.co.jp

宮下奈都『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。』扶桑社

ゆっくりと木洩れ日の下で歩いているような本。
生きていくこと。暮らしていくこと。それらが詰まった、宝物のような本だった。

 

ひと口ひと口が、料理のひと品ひと品が、今の自分を作り上げていく。
手をかけ、命をいただくこと。使う鍋ひとつにも、それを食べる自分や家族の姿が刻まれていく。
好きなものを好きなように作って、食べていい。空を見上げながら、好きなことを好きなようにしながら胸を張って生きていい。
当たり前のそのことを、お皿に乗せてそっと目の前に差し出すように教えてくれた。

 

大切に想うひとにこの本を贈りたい。
この本に流れる幸せな時間を、ぜひ感じてほしい。

 

 #とりあえずウミガメのスープを仕込もう。 #NetGalleyJP

 

宮下奈都『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。』扶桑社

978-4-594-07983-3

www.fusosha.co.jp

瀬尾幸子『うれしい副菜』新星出版社

1冊、自分の横にあるだけですごく安心できる本。

 

パラパラめくるだけで「これ食べたいなあ」ってメニューがいくつもビジュアルで飛び込んできて、作り方の手順も大体3~4手順でできる。材料も難しくない。
お料理慣れしている人にはきっと、当たり前に思いつくのかもしれないくらい簡単に作れるメニューだけど、それが手に届くところにいつでも置いてあるだけですごく安心感があるのだ。


副菜としてはもちろん、それだけじゃなく、ひとりごはんなのに作ることが面倒でついつい外食等になってしまう時、また遅く帰ってきた旦那さんにそっと出してあげたい時なども、ほんの少しの手間で気持ちにゆとりが持てる。
どんな野菜を常備しておこうかな、ということも本を見ながら考えられるので、いろんな栄養のかたまりのような本。

#NetGalleyJP  #うれしい副菜

 

瀬尾幸子『うれしい副菜』新星出版社

978-4-405-09348-5

www.shin-sei.co.jp

フジスーパー・グルマ・ヴィラ比較

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こどもの日。日系スーパーのフジスーパーには鯉のぼりが揺れる。

柏餅も節分も年越しそばも、フジが置いてくれるのを見て思い出す。

日本人が多いエリアにいるので、狭い範囲にフジスーパーは4店舗。

それプラス、自分がよく行くのはエンポリ、エムクオーティエ等の中にあるグルメマーケットと、欧米系?のヴィラマーケットだ。

 

一番好きなのはグルマ。

日本のものも含め、世界中の物が置いてある(気になる)。

タイローカルの野菜や果物もその3つのスーパーの中では一番充実してるし、先日書いた生ライチも今のところグルマでしか見ない。

ちなみに海ぶどうも、グルマでしか見ない。ポン酢的なソースと辛っい青唐辛子ぽいソースのふたつ付き。

タイの高級スーパーなのでもちろんタイローカル向け、日本人含め海外駐在員が多いので輸入物、観光客向けのお土産物が網羅されていて片っ端から試してみたくなるし見てるだけでも楽しい。

逆に、フジ、ヴィラに比べても広いので品物の種類も多く、例えばサバ缶ひとつ買うのにも、味付けや産地(タイローカル、輸入品)の違う数十の中から選ばなきゃいけないのが、元気じゃないときには自分はストレスだ。

 

ヴィラは、欧米系の輸入品やお肉、チーズに強いイメージ。

といってもプロンポン駅前のお店は広くないので、トンローの大きいヴィラはやっぱりグルマのようにうきうき感だけど、普段はキャンベルスープやパスタのセールを狙って行ったり、お気に入りのチーズ(最近グルマにもあるのを発見したけどこっちの方が安い)買いに行ったり。

 200B越えないとクレジット使えないのがちょっとネック。

 

対するフジは、なんといっても日系の安心感。

グルマのような楽しさはないけど、日本のスーパーと陳列配置が近いからか何のストレスもなく、急いでるときはここでぱぱっと揃えてしまう。

もちろん日本の輸入食材はここが一番充実。

長ねぎ、長芋などの日本野菜(タイ産)もフジでないとないことが多い。

あ、あとは薄切り肉!!牛肉は専門店で買うので自分は買ったことないけど、豚のしゃぶしゃぶ用的な薄さのお肉はフジでないと売ってない。

日本人にしか需要がないようで、他のお店の薄切りはしょうが焼きの薄さまでしか見たことないなあ。

日本語フリペ置場もあるので、フリペ調達スポットでもある。

 

しかし、日本のような定価があるんだかないんだかなので、お店によって同じものの定価が違うことも。輸入物は分かるけど、タイ産の缶ジュースとかでも違ったりするし、たまにセールだったりもあるのでぐるぐる散歩を兼ねて巡回の日々。

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映画鑑賞の楽しみ

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映画を観るときの楽しみは、実は本編が始まる前にある。

 

大量のCMや映画予告も面白いけど、それと本編の間の国王賛歌。

いつも自分はそれを楽しみに待っている。

タイでは本編前に流れる国王賛歌の間は全員起立。

その歌の間の映像が、映画館(多分)や時期によって変わるのだ。

昨年~今年は、前国王様から現国王様への移り変わりもすごく感じられた。 

 

そして映画を観るといつも、英語やタイ語の勉強したいなあと思う。いつも思うだけで、映画を観てる間に忘れる。

言葉が分かりたくなるひとつには、英語さえ分かればもっとたくさんの(英語圏の)映画が観られるから。

当たり前だけど、日本の違ってタイでは英語の映画につく字幕はもちろんタイ語だけ。英語さえ分かれば、日本にいるときより早く観られる映画もあるのだ。

 

それと、タイ映画を観たい。そしてCMも、何て言ってるか知りたい。

日本で邦画に字幕が付かないように、タイ映画はタイ語のみ。(万一仮に字幕が付いたとしても英語だろう…。)

CMの端々にも「映画を観る」とか「持ってない!」とかたまに分かる言葉の片鱗(タイ語)があるだけに、ちょっとがんばったら分かるんじゃないか的な欲が出るんだなあ。

 

しかしタイの映画館は、映画がエンディング(スタッフロール) になるともう出口が開き照明も明るくなる。

続々とお客さんも出ていく。

最後まで観る派なので気にしないようにして座っているけど、出口に立つスタッフの人の視線が気になったりとか。とかとか。。